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心の中の“いろいろな自分”と対話する― パーツ心理学(IFS)という優しいアプローチ

「どうして私は、いつもこうなってしまうんだろう」

頭ではわかっているのに、
感情がついてこない。

本当は怒りたくないのに怒ってしまう。
嫌なことを言いたいわけではないのに、つい言ってしまう。

もう気にしないと決めたのに、心が乱される。
原因を探しても探しても、解決しない。

そんなふうに、自分ではどうしようもなく、

自分の中でさまざまな葛藤が起きること
はありませんか。

私たちはつい、
自分の心は、”一つ”だとイメージしがちです。

でも実際には、心の中には

  • 怒っている私
  • 怖がっている私
  • がんばりすぎる私
  • 人に合わせてしまう私
  • 何もしたくない私

など、そんな いろいろな自分 が存在しています。

こうした心の働きを理解する方法のひとつに、
パーツ心理学と呼ばれる考え方があります。

その代表的な心理療法が
Internal Family Systems(IFS)です。

IFSは、家族療法家の
Richard Schwartz によって提唱されました。

このアプローチでは、
私たちの心を さまざまなパーツ(部分)からなるシステムとして理解します。


目次

なぜ「わかっているのにできない」のか?葛藤が生まれる心の仕組み

IFSの基本的な考え方は、とてもシンプルです。

私たちの心の中には
さまざまな役割を持ったパーツが存在している
というものです。

たとえば

  • 怒ることで自分を守ろうとする子どものパーツ
  • 人に嫌われないように、何かに合わせてがんばる大人のパーツ
  • 感情を感じないように、遠ざけたり感じなくするパーツ

どのパーツもすべて、

あなたを守ろうとして働いてきた存在

で、どんなに社会の枠から外れているように見えても、
善意を持っていると考えます。

このアプローチのとても大切なところは、

どのパーツも悪者にしないということ。

すべてのパーツには
それぞれの成り立ち、歴史、役割と存在している理由がある。

パーツは、それぞれ一人一人が、
その思いや願いを持っている存在なんです。


IFS(内的家族システム療法)が教える「多重のマインド」という考え方

多重のマインド

私たちの中には
複数の心の部分(パーツ)が存在するという考え方。

一人の人間の中に、
例えば、

  • 迷う声
  • 怒る声
  • 頑張る声

など、複数があるのは、とても自然なことなのです。


システム理論

IFSでは、心を、 ひとつのシステムとして理解します。

パーツは、家族のように

  • それぞれの外観、年齢、関心、才能がある
  • それぞれに役割や、関係性がある
  • 個人が効率的に機能し、幸福になるように
    全体として集団のバランスを保っている

そして、
このバランスの中心にあるのは Self(セルフ)であると考えます。

Selfは、”パーツでないあなた”。
つまり、大人であれば、大人として自分の中心にある自分の存在の部分です。

  • 好奇心
  • 落ち着き
  • 勇気
  • 思いやり
  • 愛などの感情の状態
  • 今ここに一人の人として存在している感覚

といった特徴を持ちます。
スピリチュアリティの領域では、魂、神、仏性
などと呼ばれるものです。

パーツに調和が生まれ、落ち着いていくと
心のスペースが広がり、

誰もが自分は何者であるかという、
核心にアクセスすることができるようになることを
Schwartzは発見しました。

自分が主体となって、人生を選択していける状態になっていくんですね。


自分を苦しめる原因?IFSにおける3つのパーツの役割

IFSでは、心のパーツを
大きく3つのタイプに分けて考えています。


過去の傷を背負う「追放者」(Exiles)

トラウマや愛着の傷つきを経験すると、
その痛みを抱えるパーツが生まれます。
多かれ少なかれ、このようなパーツが誰でも存在しています。

それが 追放者(Exiles) です。

このパーツは

  • 過去のトラウマの記憶
    (恥をかかされたり、否定されたり、虐待されたり、無視されたりしてきた)
  • 愛されなかった悲しみ
  • 孤独や恐れ

などの感情的な痛みを抱えています。

そのため、
心の中を圧倒しないように追放されました。

そして、このパーツを遠ざけ続けるためには、
たくさんのエネルギーを消耗します。

このパーツは

愛とケアを求めている存在

です。

本来の自然な姿として受け入れられれば、
好奇心や、創造性、遊び心が回復していきます。


日常をコントロールする管理者(Managers)

追放者の痛みが表に出ないように、
先回りをして、
自分や環境をコントロールするパーツがあります。

それが 管理者(Managers) です。

例えば

  • 断固として容赦なく働き、目的を達成しようとする
  • 完璧に義務をこなそうとする
  • 知性に偏りすぎ、感情を感じさせないようにする
  • 一方的に世話をしようとする
  • 外見に執着する
  • 社会的な葛藤の回避

などの特徴として現れることがあります。

心が痛みで圧倒されないように、
そして、社会で受け入れられるように、

必死に自分を守ってきた砦

のような存在です。
常に警戒しているので、心身は消耗します。


依存や衝動で痛みを消す消防士(Firefighters)

もし追放者の感情が
突然あふれてしまったとき、
それに反応して、 すぐに消そうとするパーツがあります。

それが 消防士(Firefighters) です。

例えば

  • 過食
  • スマホを見続ける
  • 買い物
  • アルコール、ゲームなどへの依存
  • 麻痺、解離、自傷

こうした行動があります。

これらは

感情の火事を消すための行動

なので、
消防士が、火を消すためならば、
家を壊したり、周囲を水浸しにする必要があるように、

激しく、極端な手段を用いる傾向があります。



なぜパーツ心理学は日本人の「和の精神」に馴染むのか

日本で行われている多くの心理療法は、
海外から輸入されたものです。

中でも、このIFSに私が触れて感じたのは、
日本人の感覚にもとても合っている
ということでした。

日本では昔から
「和を大切にする」という文化があります。

対立をなくし、
バランスを取ろうとする考え方です。

IFSも同じように心の中のパーツ同士の関係を整える
ことを大切にします。

誰かを排除する、支配する、
誰か一人だけが活躍したり目立ったりする、
誰かが虐げられたり、いじめられたりする、
そんな世界ではなく、

それぞれの役割を理解しあい、そして、寄り添い、
お互いの調和を取り戻していく、

そんなとても優しいアプローチです。




以前の心理療法では「防衛」や「抵抗」と呼ばれていたもの

前に進もうとする時に、何か無意識に阻むものが出てくる。

こうした心の働きは、古典的な心理療法では、

防衛抵抗と呼ばれ、
治療では抵抗や防衛を取り除く、
といったニュアンスで扱われることもありました。

私自身も、
そうしたアプローチに触れてきましたが、
それは私には、とても苦しいものでした。

怖がっている自分や
守ろうとしている自分と、
まるで戦わなければいけないような感覚
になってしまったのです。

その結果、
余計に自己否定が強まり、苦しくなっていきました。

セラピーのプロセスの中で、
心の内側のパーツ同士に対立が深まると、
必然的に、
周囲の人間関係でも、
対立や反発が増え、溝が深まってしまったりもする。

そのような揺らぎは、
一時的にある程度は必要なものかもしれません。

けれども、必要以上な対立は、
ただ苦しみが増すだけになってしまいます。


すべてのパーツを尊重するという発想

IFSの考え方に出会ったとき、
私は、心からほっとし、安心する感覚を持ちました。

この理論では、どのパーツも排除しないからです。

怒るパーツも
避けるパーツも
凍りついて動けないパーツも

すべてあなたを守ろうとしてきた存在

パーツを消すのではなく、
対話することを大切にしていきます。

<ある事例>
Yuiさんは、いつも容姿ばかりを気にしている自分のことを嫌っていました。
そして、完璧主義的な自分がいることを理解しながらも、
それを手放せず、葛藤に苦しんでいました。
セッションで、パーツの捉え方を知るようになり、嫌っていた自分も、実は自分を守っていた存在だと
心から気づき、実感できるようになるにつれて、自然と完璧主義的な自分がゆるみ、
他者と関係をつくっていくことに、ハードルが低くなっていきました。


自己否定から自己受容へ。「Self(セルフ)」が育む内なるリーダーシップ

Selfが心の中で立ち上がっていき、
システムの中でリーダーシップを発揮できるようになると、

  • 落ち着いていて
  • 思いやりがあり
  • 広い視点を持ち
  • 早急な判断せずに見守れる

そんな意識が増していきます。

どんな自分のパーツに対しても、

「ありがとう」
「守ろうとしてくれていたんだね」

と思いやりを持って、
優しく関わることができるようになります。

そうすると、他者との関係も穏やかに落ち着いたものになっていきます。


【身体へのアプローチ】パーツの緊張は体の症状にも現れる


パーツは心の中だけでなく身体とも深く関係している

と感じられることがよくあります。

例えば

  • 肩に力が入る
  • 顎が固まる
  • 胸が閉じる
  • 呼吸が浅くなる

こうした身体感覚の奥に
パーツの存在が感じられることがあります。

身体の中に、パーツが住んでいるような状況。

肩の奥に
いつも警戒している住人がいる。

息苦しさの奥に
寂しさを抱えている住人がいる。

お腹の奥に
怖がっている住人がいる。

そう思ってみると、
身体の症状や緊張も、

「なくすべき症状」ではなく

何かを伝えている存在

と大切なものとして感じられ、
自分の身体との関係が変化するにつれ、
心身の症状が改善していく場合があります。

私自身も、あるセラピーのセッションで、
大切な感情に触れたとき

ふっと
横隔膜の力みがほどけた瞬間がありました。

呼吸が深くなり、
体の奥がゆるんでいく感覚でした。

そのとき私は

「感情を抑えるために、身体もずっと頑張っていたんだ」

と実感しました。
そこから、感じてもいいんだという感覚が
心身に波紋のように広がっていき、
身体の力みを、より感じて調節できる変化につながっていきました。


心と身体はひとつのシステム

私たちはつい
「心」と「身体」を別のもののように考えてしまいます。

でも実際には

心のパーツも
身体の反応も

ひとつのシステムとして動いています。

だからこそ

  • 心の声を聴くこと
  • 身体の感覚に気づくこと

この両方が合わさるとき

私たちの内側で
深い変化が起こることがあります。

【今すぐできるワーク】自分の中のパーツに気づくための5ステップ

何か特定の感情(イライラや不安など)に揺さぶられたとき、
少しだけ立ち止まって、
自分の中にいる「パーツ」に意識を向けることを試してみてください。

  1. 安らぎの姿勢:地面についている足や背もたれに気づき、目を閉じて、少し呼吸に意識を向けます。 
  2. 気づく:胸の辺りに注意を向けてみます。現れてくる、感情や感覚に気づいてみます。
  3. 関心を向ける: モヤモヤ、紛らわせたい、遠ざけたい、どんな感覚であっても、それに興味を持ちます。
  4. 尋ねる: それは、あなたに何を知ってもらいたいですか?
         それは、あなたのために、どんな役割を担っていますか?
  5. 見守る: 答えが返ってこなくても大丈夫です。
        ただ「そこにいるね」と認めてあげたり、現れてくれたことに「ありがとう」を伝えてみます。

このプロセスで、何かきづいたことはありますか。
やる前と、何か変化はありますか。


cocorowingで大切にしていること

ccorowingでは、
IFSの考え方を取り入れた、
ソマティックなアプローチを行っています。

まずは、自分の中のパーツを知ることや、
優しいまなざしを向けていくことを
大切にしています。

心の中には、

これまで生き延びるために働いてきた
たくましく生きる力や知恵

がたくさん詰まっています。

その声を
少しずつ聴いていく。

そうすることで、自分の中の対立が
少しずつやわらいでいきます。

内側の調和を取り戻していくプロセスは、

自分という舟を自ら漕ぎ出していく
確かな力になっていきます。

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